小鹿紡『日本俗曲ファンタジー』

弦楽オーケストラ(2023年委嘱初演作品)

Neoclassical Collective(新古典主義集団)による委嘱にて、作曲家、小鹿紡が令和五年に作曲した弦楽オーケストラのための作品。
『トスカ』や『ラ・ボエーム』などの代表作で有名なイタリア人作曲家のジャコモ・プッチーニ(1858-1924)が、オペラ「蝶々夫人」(1904)に引用した「宮さん宮さん」「お江戸日本橋」「かっぽれ」等の楽曲の元ネタ資料とされている『日本俗曲集』(1891年初版三木書店)に登場する日本の俗曲が多数引用されている。
2023年2月17日、東京都台東区生涯学習センターミレニアムホールにて、Chamber Orchestra NEOの演奏と田中元樹の指揮により世界初演された。
Tsumugi Koshika, “Fantasy on Japanese Zokkyoku (folk song)” (2023) Movement 1 小鹿紡「日本俗曲ファンタジー」第一楽章
Chamber Orchestra NEO チェンバーオーケストラNEO, Motoki Tanaka, Conductor 田中元樹、指揮

第一楽章に引用されている俗曲 :「権兵衛蒔種」,「御江戸日本橋」,「金毘羅船船」,「都々逸

Tsumugi Koshika, “Fantasy on Japanese Zokkyoku (folk song)” (2023) Movement 2 小鹿紡「日本俗曲ファンタジー」第二楽章
Chamber Orchestra NEO チェンバーオーケストラNEO, Motoki Tanaka, Conductor 田中元樹、指揮

第二楽章に引用されている俗曲 :「夕べ呼んだ花嫁」,「宮さん宮さん

Tsumugi Koshika, “Fantasy on Japanese Zokkyoku (folk song)” (2023) Movement 3 小鹿紡「日本俗曲ファンタジー」第三楽章
Chamber Orchestra NEO チェンバーオーケストラNEO, Motoki Tanaka, Conductor 田中元樹、指揮

第三楽章に引用されている俗曲 :越後獅子」,「御江戸日本橋」,「金毘羅船船」,「推量節

部分的に引用されている俗曲 :「助さん小間物」,「来と云たとて」,「吉原之託櫻」,「かっぽれ

「日本俗曲集」永井岩井 撰曲 小八賢八郎 調曲(1891年初版、三木書店

国立国会図書館―National Diet Libraryより閲覧ができます

世界で初めて日本の歌を西洋の五線譜で表記し英語のタイトルと併せて出版された『日本俗曲集』。
編者の永井岩井(ナガイイワイ)は、
第四師団軍楽隊(現Osaka Shion Wind Orchestraの前身「大阪市音楽隊」発足時の楽員を多く輩出)設立時の楽隊長で、
後に近衛軍楽隊長を勤め、明治天皇にも深く関わった作曲家・指揮者。
初演の指揮を務めた田中元樹の高祖父にあたる。

作曲家インタビュー

小鹿紡、作曲家
山内菜々子、活動弁士(インタビュアー)

プログラムノートー

 「(公演のタイトルに関して)私たちが自然と「クチズサム」音楽とは「リズム、曲調、音域。複雑すぎず単調すぎず、印象に残る特徴があり、尚且つ声に合った音域である。これらの要素が備わった人が歌うのにちょうどいい音楽—」のことだと考えました。
「日本俗曲集の歌をもとに“口ずさめる”弦楽合奏を」とのお話をいただき、3曲から構成される組曲として作曲しました。
1曲目は「権兵衛蒔種」「御江戸日本橋」「都々逸」を用いて明治20年ごろの街中で口ずさまれた俗曲の演奏を想像しながらその雰囲気を再現するコンセプトで。
2曲目は、旋律が美しい「夕べ呼んだ花嫁」蝶々夫人の中でも引用された「宮さん宮さん」を用いたAndante Cantabile。
3曲目は「越後獅子」「御江戸日本橋」「推量節」「金比羅船船」を用いたPresto。
このほかに「助さん小間物」「来と云たとて」「吉原之託櫻」「かっぽれ」のモチーフも曲の中で用いています。                           
                                    小鹿紡・記」

ー 作曲家プロフィール ー

作曲家:小鹿紡(コシカ ツムギ)

北海道登別市出身。5歳よりピアノと作曲をはじめる。東京藝術大学音楽学部作曲科で学ぶ。クラシック音楽からの延長線上にある作風を中心に作曲している。在学中から映像、舞台、音楽教材などの音楽の作編曲を手がけている。また室内楽や伴奏、スタジオワーク他、多岐にわたる演奏活動を行っている。被災地での演奏会やアウトリーチなど音楽を通した社会貢献活動にも積極的に参加し、演奏やトークで生演奏の音楽の魅力を伝えている。2020年よりリニューアルのホッカイドウ競馬ファンファーレを作曲。北海道作曲家協会、全日本児童音楽協会会員。

2023年委嘱作品、小鹿紡「日本俗曲ファンタジー」初演時インタビューより
Chamber Orchestra NEO チェンバーオーケストラNEO Motoki Tanaka, Conductor 田中元樹、指揮
「クチズサム」02.17.2023 台東区生涯学習センター ミレニアムホール
主催:Neoclassical Collective 新古典主義集団 後援:東京藝術大学同声会
助成: 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [スタートアップ助成]

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